昭和寺の寺宝展示 大阪の展覧会・万博と仏教

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大阪で開かれる「万博と仏教」で展示される「釈迦如来立像」(左)と、ラオスの夜明けの象徴と記された「木鐘」

1970年に大阪で開かれた国際博覧会(万博)のパビリオンの一つ「ラオス館」を移築した、諏訪市霧ケ峰にある超宗派の仏教寺「昭和寺」。寺宝の「釈迦如来立像」と、ラオスの夜明けの象徴と記された「木鐘」などが、大阪市浪速区の高島屋史料館で始まった展覧会「万博と仏教」で展示されている。同展は、これまでの万博に出展された仏教に関連する展示物を概観しながら、近代における仏教のイメージと変遷について再考する。12月25日まで。

昭和寺は、戦友らと戦没者や国際平和のために活動し、戦乱のあった国内外の地に観音像を贈り続けた故山﨑良順さんが建立。山﨑さんの四女山﨑康子さん=諏訪市=によると、「父は大阪万博でも平和観音像の建立に向けて発起。当時の万博協会の石坂泰三会長らにそれまでの活動が認められ、会場内に高さ3メートルの観音像の建立が許可された」という。

1970年大阪万博のラオス館を移築した昭和寺。経年劣化はあるもののラオス伝統建築を今に伝えている=諏訪市霧ケ峰

「ラオス館は東西南北に設置された階段が、奈良県の国宝夢殿の雰囲気を醸す」ことから、この観音像を本尊にした寺院を建てたいと、山﨑さんがラオス国に願い出た。関係者の同意をもらい、万博終了後移築、昭和寺が誕生した。移築してすでに半世紀余。100余あったパビリオンはほとんど解体されたといわれる中、経年劣化はあるものの、ラオスの伝統建築を今に伝える貴重な建物となっている。住職は山﨑さんが長年務め、現在は孫の入来院大圓さん。

展覧会は高島屋史料館TOKYO主催。「かつて欧米で開催された万博では、あくまで物質的展示物だった仏像が、アジア初の大阪万博では信仰対象として重要な意味合いを帯びる存在となった」という。同展の仏教的展示物を見ながら、現代における仏像と社会の在り方の変容について考える。監修は宗教学者で山﨑良順さんの研究者・君島彩子さん。

日頃同寺を見守る康子さんは、「寺宝が寺外に出て公開されるのは初めて。昭和寺を知ってもらい、父親や仲間の平和への思いが伝わる機会になればうれしい」と話している。

開館時間は午前10~午後5時。火・水曜日休館。入館無料。

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