母親の臓器提供経験語る 清陵中で遠藤さん

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母親の臓器提供や思いについて語る遠藤麻衣さん=諏訪清陵中

諏訪清陵高校付属中学校(諏訪市)で6日、脳死した母親の臓器提供を経験した会社員、遠藤麻衣さん(40)=北安曇郡松川村=が、命をテーマに講演した。諏訪地方での開催は初めて。3年生77人を前に、日ごろの意思表示や生きることの大切さについて語った。

「ママが死んだら、使えるもの(臓器)は全部使ってね」。遠藤さんは生前に母親の緑さん(享年61)から聞いた言葉を取り上げ、家族が迎えた突然の死と、決断までの思いを語り始めた。

母親は数年前、車の運転中に脳梗塞で事故を起こし、意識が戻らなくなった。生命を維持するために人工呼吸器が必要となり、延命治療になると医師から告げられた。血圧は安定し、手は温かいまま。死を受け入れられずにいたが、母親との会話を思い出し、提供を決断した。

5人の患者に心臓、腎臓、眼球が移植された。「患者やその家族、周りの人に希望を与えた。私たち家族にとっても、どこかで生きていると思うことができる」と振り返る。

自らも骨髄バンクドナーとして提供の経験を持つ遠藤さん。日ごろの会話や思いの共有が大事とし、母親と「万が一について話し合っていたからこそ、意思を伝えることができた」と強調。「日常は普通ではなく、特別かもしれない。皆さんも精いっぱい生きてほしい」と呼び掛けた。

聴講した生徒の一人(15)は「死は突然訪れると聞き、日々を大切に生きたいと思った。人のために自分ができることとして、まずは献血をしたい」と話した。

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