「出払い地域応援隊」本格実施へ 富士見

神代区の森山区長(右)から区内の地形と必要な水路管理の作業について聞く参加者
富士見町は今年度、草刈りや水路管理など集落の共同作業「出払い」の担い手不足解消のための出払い地域応援隊を始めた。草刈り機の操作講習会、出払い体験会に続く地域見学会を9日、小規模集落の神代区で行った。担当の町総務課職員や委託先の合同会社「つくえラボ」のスタッフ、総合的な探究学習で訪れた富士見高校普通科2年生9人ら約20人が参加。地域住民と一緒に水路を見て回り、区内の地理と環境整備の関わりについて理解を深めた。
世帯減少や高齢化により作業が難しい小規模集落の状況を受け、町内外から意欲ある人を町が募って担い手として登録。集落からの要請に応じてラボが派遣する。
11軒28人の住民で構成する神代区は、国道20号沿いの傾斜地に位置。集落の上部が水田だった経緯もあり、区内の至る所に水路がある。高校生たちは住民と一緒に湧き水や水の流れを確認。管理を怠ると災害の危険もあると知った富士見高生(17)は「高齢者だけだと大変。若い人の手伝いが大切」と実感していた。
案内した森山好一区長(75)は「いずれお願いした時、どこで、どんな作業が必要か知っていないとできない。そのきっかけづくりになれば」と期待した。
8月末の操作講習会には移住者も複数参加し、「後から来たからこそ何か貢献したい」「地域住民とのつながりの場にしたい」との声も。2世帯が住む休戸区での体験会では、普段なかなか手が回らない道路脇の落ち葉を片づけるなど、共同作業の効率を確かめた。
本格実施を前に行った一連の講習を踏まえ、実務を担うラボの久保有美共同代表は「いろんな人に参加してもらえたことが良かった。地道な活動を続け輪を広げていく。町外の人にも参加してもらえる仕組みや情報発信が鍵になる」と話した。