縄文人の文化交流 八ケ岳美術館で阿久遺跡展

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東海地方などの影響を受けた「中越式土器」や関東式の土器など。縄文人の移動や交流が垣間見える

原村の八ケ岳美術館で、企画展「縄文前期の巨大祭祀(さいし)場 阿久(あきゅう)」が開かれている。国史跡の阿久遺跡(同村柏木)から出土した土器5点と石器など95点が県立歴史館(千曲市)から村に戻ってきたことを記念し、周辺の遺跡の土器なども含めて計約350点を展示。時期別に土器を飾るなどして、縄文人の移動や文化交流、工夫を分かりやすく伝えている。

阿久遺跡は1975~78年に中央道の建設工事に伴って発掘。約7000~5500年前の縄文時代前期の大集落と判明した。前期を通じて居住の場から祭祀の場に変わったとされ、立石・列石を中心に墓とみられる土坑群や環状集石群が広がっていた。日本初の発見として保存運動が盛り上がり、中央道の下に埋没保存された。

集落に多くの人が住んでいた時期には、関西や東海地方の影響を強く受けた「中越(なかごし)式土器」や、関東式の土器などが見つかっており、全国各地から人が集まるような中心地だったことがうかがえるという。

ピアスの一種「 (けつ)状耳飾」や、褐鉄鉱(かってっこう)から作られた赤い顔料「ベンガラ」で彩色された土器片も展示。阿久には職人がいたとみられ、技術の発展が垣間見えるという。

同美術館は「土器から分かる多様な文化交流と人間の移動のダイナミックさを感じてもらえたら」としている。

来年1月8日まで。12月29日~1月3日のみ休館。大人510円、小中学生250円。

16日午後1時30分からは、県立歴史館の学芸員を招き、県内における阿久遺跡について講演する。入館料が必要で予約不要。

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