宮下農水相 大臣就任後初の地元入り

大臣就任後、初めて地元入りし抱負を述べる宮下一郎農水相
宮下一郎農林水産相(65)=衆院長野5区=は24日、大臣就任後初めて地元入りし、飯田市内で長野日報などのインタビューに応じた。課題山積の農林水産業は「大きな転換期にある」と強調。産業振興で地域活性化に取り組むとして「伊那谷はそのモデル地域になる」と述べ、改革や各施策の推進を誓った。主なやりとりは次の通り。
-就任の所感について。
農林水産分野を一つの柱に取り組んできただけに、1次産業の未来を担う重責にやりがいを感じ、張り切っている。課題は食料安全保障や各産業の担い手の高齢化や減少、生産基盤の改善など山積している。環境問題にも対応した持続可能な産業へ転換していく大きな局面にある。

後援会への大臣就任報告後、支援者と握手を交わす宮下一郎農水相
-県内や中山間地の農林業の維持に向けた対策は。
中山間地域は農産物出荷額の4割を占める大黒柱。だが傾斜地や狭い農地が多くハンディを抱え、農業の大規模化が難しい。支援制度でしっかり支えることが基盤になる。また人口が減り、既存の考えでは営農が難しい。来年度にかけて(農地利用法や担い手の明確化を目的に市町村が作る)地域計画を進める。省力化機械やドローンなどのスマート農業も推進する。
-伊那谷の1次産業の可能性と課題は。
地域活性化の基盤産業で、農業は交流・関係人口を増やす地域の魅力の源泉。林業も都市部のビルに木材を多用し、成長の早い木を植え、二酸化炭素(CO2)吸収を増やして持続可能で地球環境に貢献できるようにする。ペレットなどで熱エネルギーとしての活用も広がる。化石燃料高騰に対応するためにも、地域の資源を活用していくのがあるべき姿。そのモデルとなるのが、この伊那谷だ。課題は担い手の高齢化と減少。土地改良や高収益の作物への転換で、少ない人数でも所得向上につながる改革が必要。
-有機農業推進について。
有機農業の面積は0.6%しかないが、2050年の目標は25%。(同栽培による)農産物や加工品はこれからの輸出の目玉。輸入を有機農産物に限る国も増え、世界の人口増加を伊那谷の農業活性化に取り込む発想が重要だ。
-資材やエネルギー価格高騰に苦しむ農林業者支援は。
中長期的に省エネ機器への転換を支援し、燃油高騰に強い体質になるようにする。