認知症でも前向きに 駒ケ根で市民シンポ

若年性認知症当事者の講演などを行った「認知症を考える市民シンポジウム」
駒ケ根市は9月30日、「認知症を考える市民シンポジウム」を市文化会館で開いた。43歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されたさとうみきさん(48)=東京都=が「ひと足先に認知症になった、わたしからのメッセージ」と題して講話。来場した市民らは、認知症になっても希望を持って前向きに暮らせる生活環境について考えた。
9月の「世界アルツハイマー月間」に合わせた啓発イベントとして企画。基調講演は、さとうさんを支援する慶應大学大学院の堀田總子教授との対談形式で行った。
さとうさんは1975年生まれ。43歳の頃、認知症を扱ったテレビドラマがきっかけで自身の認知症を疑い、専門医を受診。若年性アルツハイマー型認知症と診断された。
講演では「同じものを何度も買ってしまう」「約束を忘れる」「物を取る距離感がつかみにくい」といった自身の症状を説明。「認知症はいつ誰がなるか分からない」とした上で、「何もできなくなると思われがちだが、診断されてもできることはたくさんある。恐れることなく正しい知識と理解を持ってほしい」と説明し、自身の体験談を交えながら前向きな考え方を紹介した。
現在は認知症当事者同士のサポートやユニバーサルツーリズムなどの取り組みを行い、デイサービスのスタッフとして働いているさとうさん。気持ちの切り替え方を習得したことや周囲との交流があることから「認知症になっていても、今が一番楽しい」と笑顔で語った。
講演後にはさとうさんと堀田さん、伊南地域在住の3人をパネリストにしたパネルディスカッションもあった。