伊能忠敬滞在時のメニュー 学校給食で提供へ

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高遠を訪れた伊能忠敬に提供された食事を再現した品々

江戸時代に日本全土の実測地図を初めて作った伊能忠敬(1745~1818年)が現在の伊那市高遠町に訪れた際に提供された食事を”再現”し、市教育委員会が10日、「江戸めし給食」と銘打ち地元の小中学生に振る舞う。当時提供された食事や食材を記録する古文書をもとに、江戸時代の料理本なども参考に考案したメニュー。4日に高遠中であった事前説明で、企画した市地域おこし協力隊は「食で地元の歴史を実感して」と呼び掛けた。

市教委によると、伊能忠敬率いる一行は1811(文化8)年、測量で高遠に来訪。宿で提供された食事などを記した古文書が、名主だった池上家の資料として市高遠町図書館古文書館に保管されていた。その存在を知った同隊の前田和弘さん(47)が古文書活用の一環で、郷土の歴史に関心を持ってもらおうと給食での提供を考えた。

「江戸めし給食」の提供を前に高遠中学校で伊能忠敬や古文書を知る事前説明があった

古文書には11年4月15~17日に提供された食事や食材として天ぷら、みそ漬け大根、焼き豆腐、マツタケ、タケノコ、魚などの記載がある。前田さんは日本料理の板前と協力。当時の料理本を参考に想像を膨らませ、江戸時代によく使われたという酢みそなど当時もあった調味料を取り入れて▽野菜の酢みそあえ▽すいとん▽サケの幽庵焼き▽菜飯-の4品を考案した。

10日は給食として出せるようメニューに手を加え、高遠中と高遠小、高遠北小の全児童生徒約360人に提供する。事前説明で伊能忠敬や古文書について知った高遠中3年の生徒(15)は「有名な偉人が高遠に来たなんて初めて知った。食べるのが楽しみ」と期待を膨らませていた。

同古文書館には史料3万5000点以上が収蔵され「活用が課題。アイデアで活用法を見いだしていきたい」と前田さん。子どもたちには「食の体験を通じて、なじみの道を(伊能忠敬が)歩いたんだと実感してほしい」と願っている。

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