仙流荘周辺再整備11月着工 伊那市

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南アルプスの玄関口として山岳観光拠点の機能強化を図る伊那市長谷の「仙流荘」周辺。現在は隣接する林道バスの乗り場が仙流荘の玄関先に移る

伊那市が南アルプス北部の山岳観光拠点として機能強化を目指す宿泊施設「仙流荘」(同市長谷)周辺の再整備事業は、11月に着工する。現在同施設と離れている市営南ア林道バス営業所(バス乗り場)を仙流荘内や玄関先に移すなどして一体化させ、登山者の利便性向上とともに仙流荘の利用者増につなげる。乗客用駐車場の拡張なども予定。市は「南アの玄関口として、より多くの登山者を迎えられるようにしたい」とし、来春からの運用を目指す。

仙流荘とその東側に隣り合うバス乗り場の間は100メートルほどの距離があり、乗客の施設利用が少ない課題があった。再整備事業は両施設の機能を一つに集約。バス乗り場を仙流荘玄関先に移し、チケット売り場、山の気象や花などの情報を伝える山岳情報の提供スペースも仙流荘内に設ける。宿泊や食事、日帰り入浴ができる同施設の利用者増を図る。

券売機は現在も稼働しているキャッシュレス決済機を継続して配置し、需要に応じて増設できるように。飲食スペースは壁を取り払い開放的にする。売店や事務所の配置も移すなどの内装改修を予定している。

現在は、仙流荘南側を流れる黒川で来年3月まで、国土交通省天竜川上流河川事務所(駒ケ根市)による氾濫防止の河川工事が続く。川の流れが変わって黒川と仙流荘の間の敷地が広がることから、市は仙流荘前の市道黒河内線を直線化する。これに伴い施設前をバス乗り場として整備するほか、現在約400台収容の駐車場を1.5倍の約600台分に拡張する。

一連の工事は、今月末の仙流荘の今季営業終了や11月15日予定の林道バスの運行終了後に順次着工する。来春の利用開始に向け工事を進める予定だが、進捗(しんちょく)状況に応じて来年度に繰り越す場合もある。事業費は今年度予算として約3億5000万円を計上。仙流荘改修に国の交付金をおおむね2分の1、バス乗り場整備や市道改良には過疎対策事業債などを充てる。

新型コロナの影響で登山人気が高まり、バス利用者は今季、過去最多を上回る勢い。南ア林道が山梨県側で2019年に発生した土砂崩落で不通が続き、伊那市側からの入山が増えている影響も大きい。市は「山のブームが再び来ている。施設整備で山のレクリエーション機能を高め、さらなる登山者の呼び込みにつなげたい」としている。

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