諏訪湖マラソン 男子・桃澤、女子・嶋田優勝

1時間6分8秒で4年ぶりの男子総合優勝を果たした桃澤大祐(信州Lycaons)。スタート直後から抜け出して独走態勢を築いた
■男子総合 桃澤、独走劇
4年ぶりの出場でも存在感は抜群だった。男子総合は第28~31回大会で4連覇した桃澤が、2位に2分近い大差をつけて貫禄の優勝。スタート直後から先頭を譲らず走り抜けた30歳は、「久しぶりの諏訪湖で楽しく走ることができた。『おかえり』という声も力になった」。沿道の声援に感謝し、満足そうに笑った。
最初の1キロを2分51秒のハイペースで突っ込むと、この時点で後続を50メートルほど引き離した。その後は10キロ地点まで1キロ3分5秒前後と安定したペース。前週の東京レガシーハーフに出場した疲労の蓄積に加え、給水で氷を摂取したことによる腹痛で後半は失速したものの、「貯金はある。追いつかれてもいい」と落ち着いて走り切った。
山梨学院大卒業後は地元企業に就職し、社会人ランナーとして活躍。コロナ禍の練習に苦慮した2021年9月には東京の実業団に移籍し、1万メートルで自己ベストを更新するなど成長を示した。ただ「やっぱり競技者としてのピークは地元で迎えたい」と1年半で退社。現在は中川村の実家に戻り、家業の農業を手伝いながら強度の高い練習に取り組んでいる。
今後の最大目標は、佐久長聖高男子駅伝部の高見澤勝監督が現役時代にマークしたフルマラソンの県記録(2時間12分10秒)更新だ。15年以上破られていないタイムだけに、「そろそろ塗り替えないといけない」と桃澤。来年の大阪か東京に照準を合わせるつもりで、「(2時間10分を切る)サブテンを目指したい」と意欲的だった。

女子総合初優勝を決め、ガッツポーズでゴールする嶋田早紀(信州大医学部)
■女子総合 嶋田、快走V
女子総合は信州大医学部6年生の嶋田が2度目の出場で初優勝を飾った。日本陸連公認コースとなった第25回大会以降で、1時間18分14秒は女子の最速タイム。「沿道の声援も力になって想定以上の走りができた。優勝できるなんて思っていなかったので、自分でもびっくり」と喜んだ。
臨床医を目指す東京都出身の24歳。中学から陸上の長距離に取り組み、信州大進学後も医学部陸上部に所属して学業と両立する。病院実習や勉学の合間を縫って走り込みを続け、フルマラソンにも挑戦。4月の長野マラソンでは2時間48分2秒で女子総合3位、県勢トップと好走した。今季は「けがなく、しっかり練習を積めている」と好調を維持し、5年ぶりに出場した諏訪湖マラソンでハーフの自己ベストを約5分も短縮した。
昨年12月から1カ月間、諏訪赤十字病院の救命医療現場で実習をした嶋田にとって、諏訪湖畔は「毎日のように走っていた思い入れのあるコース」。諏訪湖マラソンは過去2度エントリーしながら、けがで出場できなかったといい「大学最後の年にいい走りができて、しかも優勝。本当にうれしい」と笑顔だった。