藤森栄一の論考やエッセー 収録本あす発売

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700点余の執筆作から2年がかりで編んだ藤森栄一の新刊

書籍出版の新泉社(東京都)は、諏訪市出身の考古学者、藤森栄一(1911-73年)の論考、エッセーなど14編を収録した本「藤森栄一考古学アンソロジー 掘るだけなら掘らんでもいい話」を刊行し、5日に発売する。没後50年の節目に「今なお色あせない藤森の論と著作の面白さ、刺激を味わってほしい」(竹内将彦編集長)と、氏の背に学んだ諏訪内外の研究者らと2年がかりで編んだ。

藤森は考古学を発掘と遺物による実証でよしとせず、「はるかかつての世にいなくなった人々の生活や感情を知るための学問」(「考古学への想い」)として研究を推し進めた。

同書では、藤森の代表研究で学会に論争を巻き起こした縄文中期の農耕論をはじめ、諏訪地方の古墳を地域社会との関連で捉えた研究論文、出征に際して執筆した弥生時代の摂津加茂の石器群についての論考など「今こそ読んでほしい藤森の考古学論考を幅広く取り上げた」(竹内編集長)。縄文時代にとどまらない研究テーマの幅広さ、文筆家の才も見て取れる。

収録作の多くはこれまで藤森栄一全集(15巻)のみでしか読めない状況で、数十年ぶりに光を当てた。表題のエッセーは「若き考古学の友へ」との副題で、資料を集積するだけの考古学を排して人間と魂を探求する学問の確立を熱く呼び掛け、読者を鼓舞する。

竹内編集長は「専門的な内容がありながら読者に語りかけるような叙述で読んで面白い。現在の専門、細分化した学問のあり方やこれからの遺跡と地域社会の関連について自然と考えさせられる」と論評する。

協力者の一人で、巻末に寄稿した大昔調査会副理事長の三上徹也さん(67)=岡谷市=は「700もの作品の中から選ぶのはとても大変だった。批判を恐れず研究し、語った藤森先生の姿に勇気を得て、その背を追い育った者として出版はとてもありがたい」と感謝。諏訪市博物館で12月24日まで開く企画展「没後50年 考古学者藤森栄一と諏訪の考古学」と併せて注目してほしい-としている。

四六判、296ページ、販売価格は税抜き2500円。全国の書店、市博物館内のすわ大昔情報センターで販売する。問い合わせは新泉社(電話03・5296・9622)へ。

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