2020年9月29日付

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青は世界で最も好まれている色だという。目に沁みるような大空の青、深くどこまでも吸い込まれそうな海の青。生物学者の福岡伸一さんが以前、青について〈生命に直結した重要な物質の色〉だとつづっていた。青は地球の色だろう▼宇宙から届く画像を見ると、薄い大気に包まれた地球はどこかはかなげに映る。思い浮かべるのは宮沢賢治の詩「春と修羅」の一節。〈まばゆい気圏の海のそこに(かなしみは青々ふかく)〉。空気の層の底をはい回るようにして懸命に生きる人の姿が思い浮かぶ▼米航空宇宙局(NASA)の探査機「ボイジャー1号」が60億キロのかなたから地球を撮影した写真がある。「ペイル・ブルー・ドット(淡く青い点)」と呼ばれる写真は、ボイジャー計画に携わっていた天文学者カール・セーガンの提案によって撮影されたという▼1990年2月の撮影から30周年を迎えた今年、最新の技術で再処理した「ペイル・ブルー・ドット」の画像をNASAが公開した。元の写真よりも明るく青く見えるようになったといい、縦に走る光の筋の中に、点のようにぽつんと浮かぶ地球の姿が確認できる▼地球は宇宙の闇に浮かぶ孤独な点にすぎないが、その青い星は多くの命を宿している。唯一のふるさとである「淡く青い点」を守り育てることが、わたしたちの責任である―。セーガンは著書「惑星へ」(森暁雄監訳)で訴えている。

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