作家・島村利正に光を 寄託資料の整理進む

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伊那市高遠町図書館で進む島村利正の資料整理(右は中心になって取り組む六川宗弘さん)

伊那市高遠町図書館で、高遠出身の小説家、島村利正(1912~1981年)の資料整理が進んでいる。子息から寄託された資料は草稿や書簡など合わせて約5000点にも上り、島村研究の第一人者で長野吉田高校教諭の六川宗弘さんの協力を得て分類と目録作りに取り組む。今年は島村没後40年の節目で、関係者らは改めて古里の作家に光を当てる機会にしようと意気込んでいる。

分類整理は、2013年に子息の嶋村正博さん=東京都=から資料約3750点(草稿など約950、書簡など約2000、写真約600、その他約200)が寄託されたことを受けて、14年度から始まった。その後に書簡など1000点ほどが追加で寄託されており、六川さんが中心となってこつこつと作業を進めている。

「今すぐ役に立つというものではないが、文化的な財産として、こうした資料が高遠にあること自体、価値がある。この地に生まれ育った人が、こういう形で作家になり、その作品を書き、本にするまでにこれだけ苦労しているという舞台裏が分かる」と分類整理の意義を語る六川さん。

没後40年の節目の年に、「機械の中にデータとして残すだけでなく、その時代を生きた人間の姿が見えるような形で何かを残せないか。そして、町の変化とか人の生き方というものが分かってもらえるようなことができればいいと思う」と提案している。

島村利正は、庶民の姿を描いた純度の高い小説を書き、故郷の高遠を舞台にした小説や随筆も残した。作品は評価され、芥川賞では受賞こそ逃したが、「高麗人(こまびと)」、「暁雲」、「残菊抄」、「青い沼」の4作が候補になった。平林たい子文学賞は初回から3年連続で候補になり、4年目に作品集『青い沼』で受賞。78年発表の「妙高の秋」は川端康成文学賞候補作品となり、作品集『妙高の秋』で読売文学賞を受賞している。

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