2024年4月29日付

2024/04/29 06:00
八面観

年とともに三度の食事が楽しみになっている。グルメというわけではない。おいしく食べられることに感謝しながら、健康面から塩分を控えめに、よくかんで食材そのものの味を感じるようにしている▼30年ほど前のこと。もう一度食べたいと思える料理に出合った。イタリア・ローマにある円形闘技場遺構のコロッセオに近い店で食べたピザはうまかった。これぞ本場の味と感動的で、店名を今でも覚えているほどだ▼韓国中西部の都市・大田で味わった焼き肉には、「ほっぺたが落ちる」とはこのことだったのかとうなった。「韓国といえば焼き肉でしょう」のお粗末な先入観で、同国に滞在していた約1カ月の間、それこそ焼き肉ざんまいだったのだが、その店は別格だった。連れていってくれた地元の人が「韓国でもナンバーワン」と自慢げなのもうなずけた▼テレビ東京系列のドラマ「孤独のグルメ」は、主人公の井之頭五郎が各地の実際にある店に立ち寄り、1人で料理を堪能する半ドキュメンタリー。五郎役の松重豊さんの表情に心満たされる。自然体で、実においしそう。人生いつもこう穏やかでありたい▼諏訪市内の店でスイーツの食べ放題を取材した折、お客さんは一様に笑顔で、幸福そうだった。「お菓子は幸せを運びます」。東京に洋菓子店を構える有名パティシエの土屋公二さんの言。酒を飲めない身として、まさにわが意を得たり。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。