中尾歌舞伎保存会の会員(右)と衣装の汚れを落としながら、活動の現状などを聞く学生たち

「中尾歌舞伎」継承の難しさ 青学大生が保存会員と交流

2024/05/02 06:00
地域

青山学院大学のコミュニティ人間科学部(神奈川県)の3年生9人が2日までの4泊5日、伊那市内に滞在し、長谷や高遠町地区を中心に地域の課題や伝統文化について学んでいる。地域活性化に向け、学生視点で生涯学習プログラムを企画し、提案発表する実習の一環。4月30日夜、同市長谷中尾に江戸時代から伝わる「中尾歌舞伎」の保存会員と交流し、担い手不足など継承の難しさに理解を深めた。

 

同大3年生は3、4年前から毎年同市を訪れ、同会と交流を続ける。今年は長谷小学校や長谷中学校の両校長、国立信州高遠青少年自然の家の所長にもそれぞれ地域学習の取り組みを聞いて、活性化の方策を探っている。

 

この日は同市の「中尾座」で市内外の同会員約10人と前日の29日の定期公演で着用された衣装の汚れを落とす作業を行った。前日の公演の運営を手伝い、見学した学生たちは会員たちに歌舞伎を始めたきっかけ、新会員の勧誘方法、地元の子どもに歌舞伎に触れてもらうための工夫などを質問。会員たちは「歌舞伎の化粧の体験教室を開いて、参加者の一人が新たに会員に加わった」「伝統だからと重く考えず、楽しまないと続かない」などと答えていた。

 

公演を初めて見た新道荘太朗さん(20)=神奈川県出身=は「演技に圧倒され、おひねり文化にも驚いた。中尾区は子どもが少なく後継者不足や経済的負担などが課題だと思った」。保存会の中村徳彦会長(64)=同市長谷中尾=は「若い人に知ってもらえると気持ちがリフレッシュする。地域の伝統事に興味を持ってもらえたら」と話していた。

 

最終日の2日、同自然の家の梅津孝一所長に学生一人一人が考えた生涯学習プログラムを発表する。

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