伊那市西春近のまつり工房を拠点に活動する劇団「風の庵から」は20、21の両日、第9回公演をまつり工房で開く。松本を中心に創作活動を続ける劇作家、三輪はじめさんによる書き下ろし新作「六郷橋BLUE」を上演する。未来から来た自分に死を宣告されるというファンタジー要素を取り入れつつ、薬物被害や格差などの問題に大胆に切り込む社会派作品となっている。
都会の片隅、六郷橋のたもと。日々空き缶を拾いながらひっそり暮らすホームレスの男、三郎は、なじみのホームレス支援組織の職員からある薬の治験を頼まれた。三郎は薬に誘われた夢の中で、過去とも未来ともいえない人々に出会う。かつての妻、そして、「明日の三郎」を名乗るもう一人の三郎。さまざまな人物が交錯しながら、三郎の平穏な無宿生活は徐々に破綻していく。
出演は伊東初絵さん、今牧文孝さん、北原永さん、福澤友美さん。主人公の三郎を北原さんが演じる。事務局の渡辺泰徳さんによると、年明け後から本格的に稽古をスタート。演出は置かず、劇団創設者で演出家の飯島岱さんが顧問として参加し、一人一人が問題意識を持ちながら作り込んでいくスタイルで稽古を重ねている。
”小劇場”ならではのステージと客席の近さに加え、「橋の下」を再現した舞台装置も注目という。クライマックスには大掛かりな仕掛けも用意している。
渡辺さんは「社会の下層の人々に焦点を当てた物語だが、あまり重くなりすぎず、軽い口当たりに仕上げていきたい。小さな空間で没入感もあると思う」と来場を呼び掛けている。
20日は午後1時30分、午後7時、21日は午後1時30分開演(開場はそれぞれ30分前)。入場料は一般1500円、高校生以下800円(日時指定・全席自由)。チケットはまつり工房(電話0265・78・6662)で取り扱っている。
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