行財政改革を進める茅野市は市運動公園プールを今夏の営業を最後に閉鎖すると正式に決めた。施設の老朽化が進み、利用者の減少傾向が今後も続く見通しで、既に市内に拠点を置く競技団体が解散していることなどを考慮した。今夏の営業は7月13日から8月18日までを予定しており、閉鎖後の利活用は未定となっている。
プールは1977年に建設。25メートル、50メートル、幼児用、流水の各プールとスライダーがあり、総工費は2億930万円。利用者数は5万人を超えた時期もあったが、近年は近隣自治体で屋内型の類似施設が建設されたこともあり、利用者は減っていた。市水泳協会も既に解散しており、営業期間中に開催される競技会もなく、昨年度の利用者は35日間の営業で1万3942人だった。
コロナ禍前は7月1日から8月31日までの約2カ月間の営業で1日当たりの利用者数は平均250~280人だった。昨年は約1カ月の営業で平均利用者数は約400人となった。利用者増ともみれるが、市教育委員会スポーツ健康課は「昨年は猛暑に加え、夏の最盛期の約1カ月間に限って営業したため平均利用者数は増えたが、相対的に見れば減少傾向」とした。
プールの運営は指定管理者が管理。人件費と電気料金の高騰により、約1300万円の経費が掛かっているが、利用料収入は約500万円にとどまり、赤字額は市が指定管理委託料として補てんしている。オープン前の塗装補修などは最低限にとどめているが、50~150万円掛かっており、今後予定される全面的な塗装や機械設備の更新などの大規模改修の費用は概算で1億円以上と見込まれている。
市は2021年2月に策定した市公共施設再編計画でプールを「廃止を含めて検討」とした。昨年度の市行財政審議会に示した行財政改革の優先改革事項にも廃止が議論のたたき台として明記され、今年度は市民周知を図った上で廃止する年度としていた。
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