茅野市国際スケートセンターで行われた茅野ジュニア競技会。県内外から小学生約200人がタイムを競った=2023年1月

茅野市スケートセンター 存廃を行財政審に諮問

2024/06/06 06:00
行政・政治

行財政改革を進める茅野市の今井敦市長は4日夜、市国際スケートセンター(NAOiceOVAL)の存廃について市行財政審議会(小平淳会長)に諮問した。平昌冬季五輪金メダリストの小平奈緒さんをはじめ多くのトップアスリートを輩出し、地域に根差したスケート文化の拠点施設だが、老朽化が進み、維持するための優先的な改修に少なくとも6億円が必要。運営の収支改善も求められる。8月下旬をめどに答申する予定。

 

市は昨年度まとめた行財政改革プランの優先改革事項で、スケートセンターについて今年度協議し、来年夏に今後の在り方について最終的に判断する考えを盛り込んだ。現行の指定管理者による管理期間が来年度末で終了するため、来年5月には次期の公募を行う必要がある。市は今後の方向性を今年度末までに決めたい意向。

 

審議会では、諮問後に市側が同センターの現状と課題を説明した。茅野では冬の気候を生かし、明治期には住民が水田などでスケートを楽しむようになった。昭和時代には学校の校庭に水を張って作る「校庭リンク」が各校に広がった。同センターは市民の提案を機に1989年、13億円余をかけて建設。400メートルリンク、初心者リンク、管理棟などを整備した。夏場はゴルフ練習場となっている。

 

スケートセンターの利用者数は2002年の14万人超をピークに減少が続き、近年は3万人前後。市内外の小学校が授業で利用するほか、市内外のスケートクラブに加盟する約210人が練習の拠点にしている。営業期間は温暖化や冷凍機の機能低下のため、短縮傾向。指定管理委託料を除いたスケート単体の運営収支は約4000万円の赤字となっている。これまでの調査で優先的な改修項目に挙がったのは、冷却設備の更新などの4項目で計約6億円。テントハウスやゴルフ場としての機能維持、冷凍機の更新など将来的な改修費用を加えると11億円を超える。

 

この日の審議会では今後の協議につなげるため、市側の説明に対する質疑応答を行った。茅野市の教育としてのスケートの在り方を問う質問に山田利幸教育長は「茅野市の子どもには教育の中で氷に触れ、スケートを楽しんでほしい。一方で授業としてスケートの時間を確保するのはひと冬で多くても3回が精いっぱい」と答えた。

 

審議会の冒頭、小平会長は「優先改革事項の中でも特に優先する事項の諮問について結論につながる答申をしていくことになる。パワーのある仕事。ただのコストカットではなく、新たな投資の財源を生むところまでを判断基準としたい」とあいさつ。今井市長は「市にとって良い情報も耳障りの良くない情報もきちんと正確に示す。将来の茅野市のかたちをスピード感を持ちつつ慎重に議論してほしい」とした。審議会後の取材には「スケートセンターは茅野市だけの問題ではなく、県全体としてどうするのかという視点も大切」と述べた。

 

次回は19日に現地視察を行う。

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