円安基調を背景に訪日外国人数が増えている。日本政府観光局によると、3月と4月の訪日外国人は2カ月連続で300万人を突破。3月だけを見ても308万人で前年同月比69%増となり、単月としては過去最高を更新した▼外国人に人気の目的地の一つに100円均一ショップがある。海外にも同様の店はあるが、日本の店は圧倒的な品ぞろえと安価が好評という。売れ筋は化粧品やキッチン用品など。突き詰めて考えた各種アイデア商品も人気だ▼業界最大手となる大創産業の創業者矢野博丈さん(80)が2月、心不全で亡くなった。矢野さんは魚の養殖やセールスマンを経て1972年、妻と車で行商する「矢野商店」を創業する。ある時、開店を待てない客が値札のない商品を手にとって「これなんぼ」と聞く。とっさに「100円」と言ったのが100円ショップの始まりだ。大下英治著「百円の男ダイソー矢野博丈」(祥伝社)に詳しい▼買い物中に「これが100円」と驚く品物も多い。中には1円しか儲けのない商品もある。だが、矢野さんは「みんなに喜んでほしい」と生涯、顧客満足度を追求した。それが奏功し、同社は今や国内外に6338店舗を構え、年商5500億円の企業に成長した▼矢野さんは「感謝と努力、よい行いの積み重ねが運を呼ぶ」と言った。人を思いやる気持ちは外国人にも伝わる。その生き方に学ぶ点は多い。
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