ライチョウ野生復帰の個体 中アで越冬、繁殖中
中央アルプスの「ライチョウ復活作戦」で昨年夏に試みた野生復帰により、動物園から中ア駒ケ岳(2956メートル)へ空輸し放鳥した個体が、無事に越冬し繁殖している。中ア生まれのオスやメスとつがいを形成。早ければ月末にもヒナが誕生する見込みで、作戦を進める関係者が期待をかけ、見守っている。
復活作戦を成功に導く切り札として初めて試みた野生復帰。天敵や悪天候からライチョウを守ることができる動物園で、安定的に数を増やした個体を山に戻す作戦だ。那須どうぶつ王国(栃木県)などでふ化し、育てたヒナと成鳥の計22羽を昨年8月にヘリコプターで運んでいた。
越冬したライチョウは、作戦を指揮する信州大学名誉教授の中村浩志さん(76)が確認。生息数を調べる4月~5月中旬の調査結果をまとめた結果、動物園育ちの複数の個体の生存が分かった。ライチョウには足輪が付いていて、個体識別が可能だ。発見時には別のオスやメスを連れ添い、繁殖に入っていた。現在は卵を産み終え、温める「抱卵」をしているとみられる。
野生復帰では、移送したヒナが自然繁殖し、中アの個体数増加に貢献した場合に”成功”と判断する。新たなヒナの誕生は確実で、中村さんは「初の作戦は成功したと言える。中央アルプスの生息数は確実に増えている」と手応えを口にした。