小和田牧野農協が蛙原でニッコウキスゲ植栽

ニッコウキスゲの苗を植える参加者たち
小和田牧野農業協同組合(諏訪市)は9日、同市郊外の霧ケ峰蛙原にある所有地でニッコウキスゲの植栽を行った。組合役員をはじめ、静岡大学(静岡市)の学生ら約20人が参加し、鹿よけの電気柵で覆われた花畑に100株ほどの苗を植え、高原のシンボル復活を願った。
鹿の食害で衰退した在来植物を再生する事業の一環で、2007年に始めた。最初は種をじかまきしていたが、牧草地で根付きにくかったため、静岡大学の増澤武弘客員教授の助言を受けて苗を育てて植える方法に切り替えた。苗作りや植栽活動には小中学生などが参加し、地域ぐるみの再生活動を展開している。
9日はあいにくの雨模様のため、予定した花畑の一般開放を中止した。組合や静岡大のほか、13年前の教職員時代に北信地方の小学1、2年生30人と植栽体験をした県職員の清水きく江さんも参加し、植栽活動と意見交換を行った。同大大学院で山の植生を調査する浅野奈々さん(22)は「高原の植生を見ることができて勉強になります。ニッコウキスゲの群落は財産。みんなで守るプロジェクトが素晴らしいですね」と話していた。
事業開始から15年を経て再生区域は約2・3ヘクタールにまで拡大した。組合は8~9月にも記念誌を発行する予定という。増澤客員教授は「これほどの人が参加する再生活動は全国でも少ない。組合の方々の情熱が素晴らしい」と話した。藤森聡一組合長(67)は「霧ケ峰の自然資源を守っていきたい。子どもたちや多くの人に思いをよせてもらえたら」と願った。