駒ケ岳のライチョウひな 母に学ぶ”お散歩”

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ケージから勢いよく”散歩”に飛び出すライチョウの親子=中央アルプス駒ケ岳

環境省は中央アルプスで国特別天然記念物ニホンライチョウの生息数を増やすため、ライチョウの家族を一時的にケージに収容して現地で保護しながら育てる「ケージ保護」を駒ケ岳で行っている。6月末から5家族33羽を保護。午前と午後の2回にわたり親子がケージの外で過ごす”お散歩”で、ひなたちは保護のスタッフに見守られながら母鳥から高山で生きるすべを学んでいる。

ライチョウのひなは悪天候による低温や捕食者の影響などを要因にふ化後1カ月死亡率が8割程度と高く、保護増殖における課題となっていた。そこで信州大名誉教授の中村浩志さん(76)らはひなの生存率を高めるために、ライチョウの家族を1カ月間ケージで保護して見守るケージ保護を行っている。中アでは3回目で、今年は駒ケ岳南面など5カ所に設置している。

24日の取材では、保護したひなは体長15センチ、体重100グラムほどに成長。散歩に出て母鳥に食べられる草花を教えてもらいながら自生するクロマメノキの葉やハイマツの花をついばむ様子、砂地で砂浴びをして寄生虫を落とす様子などが観察できた。また、ひなの捕食者であるチョウゲンボウが上空に現れると、母鳥が「クー」と警戒音を発してひなを岩陰などに隠れさせる行動も見せた。

環境省の第2期ライチョウ保護増殖事業における個体数の目標は100。中村さんは「自然繁殖のみで生息数を維持できる200~300の個体数が必要だ」と指摘する一方、「中アが日本で一番ライチョウと出会うことができる山になってほしい」と期待を寄せている。今月末には保護する5家族全てを放鳥する予定だという。

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