氷河湖「濃ケ池」 大正期の水準まで修復

LINEで送る
Pocket

濃ケ池の現状について説明する中ア国定公園巡視相談員の後藤寛さん

中央アルプス駒ケ岳(2956メートル)の北東部に位置する国内でも現存が希少な氷河湖「濃ケ池(のうがいけ)」(2660メートル)の規模縮小問題について、管轄する宮田村は現状報告会を25日、村役場で開いた。現地対応に携わった中ア国定公園巡視相談員の後藤寛さん(73)=同村新田=は「池の面積は記録に残る1924年当時と同レベルにまで修復された」などと報告。今後も復元状態を保つための取り組みを村とともに継続する意向を示した。

村は中アの国定公園化に伴い、環境保全の一環として専門家などから指摘を受けていた「濃ケ池の縮小化」について調査。この結果「人の往来が原因」とされたため、2021年から「人の手による修復」に着手。同9~10月にかけ自然石や土砂を用い、本来は水が流れ出る場所ではない地点に水をせき止めるための堤を築くなど、復元活動を行っていた。

後藤さんによると、今年7月2日の状況調査では、記録に残る濃ケ池の規模(面積)としては1924(大正12)年と同レベルまでに復元。最小規模だった2013年と比べ、「目測で」約6倍に拡大した。水位も最小時より25センチ程度上がったという。

復元活動は、県環境部自然保護課と連携して実施。コンクリートや重機を使用せず、自然石と土砂を積み上げたのみ。元よりあった排水路から水が流出するよう誘導もでき、周辺環境に配慮した形で進められた。

後藤さんは「高山帯にある湖は登山者にとって心を癒やす特別なもの。消滅もやむを得ないと思っていたが、ここまで来れてうれしい」と感想。村は「復元状態が保てるよう活動を続けていきたい」としている。

おすすめ情報

PAGE TOP