中ア、ライチョウ復活作戦 5家族34羽を放鳥
中央アルプスで国特別天然記念物ニホンライチョウの生息数を増やす「復活作戦」に取り組む環境省は1日、現地でケージ保護をしていた5家族34羽(雌成鳥6、ひな28)を7月30日までに放鳥したと発表した。このうち1家族は、昨年、那須どうぶつ王国(栃木県)でふ化したひなが野生復帰し、成長して親となった家族。飼育下で生まれた個体の野生復帰技術の確立に期待が寄せられる。
ケージ保護は6月29日から7月10日にかけて駒ケ岳南面など5カ所で実施。1家族は 母鳥の子育てが不安定であったため、この家族と入れ替えた家族にひな2羽を移して保護した。野生復帰個体の家族は、7月1日に伊那前岳付近で発見され、翌日にケージに収容。6羽いたひなは欠けることなく成長し、放鳥時には100~150グラム程度まで大きくなったという。
放鳥は、7月26~30日にかけて実施し、いずれも駒ケ岳周辺に放した。関係者によると、野生復帰個体の家族は入り口を開けると母鳥を先頭にケージの外に出た。その後、ひなが一斉に5メートルほど飛び、母鳥が後を追うように飛んでいったという。
同省信越自然環境事務所は、11月上旬までに中ア全体のひな数の追跡調査と今夏ふ化した全てのひなへ足輪を装着する。