ライチョウ3羽を駒ケ岳に移送 来月初旬に放鳥
中央アルプスで国特別天然記念物ニホンライチョウの生息数を増やす「復活作戦」に取り組む環境省は26日、動物園2施設で飼育されていた中ア生まれのライチョウの野生復帰のため、成鳥3羽(雄2、雌1)を駒ケ岳に移送した。駒ケ岳直下の頂上山荘付近にあるケージで数日間、山の環境に慣れさせ、10月初旬に放鳥する。
同省は、現地における自然繁殖と飼育下での繁殖で個体数の増加に取り組んでいる。2021年夏に2家族11羽を長野市茶臼山動物園と那須どうぶつ王国(栃木県)に移送。22年夏には那須で繁殖に成功し、ひなを含む22羽を放鳥した。
今年は、那須に残っていた中ア生まれの雌1羽が6月に病死するなど野生個体の継続飼育と繁殖の難しさが浮き彫りとなったことなどから、自然繁殖の方が生息増加に効果的だと判断し、中ア生まれの飼育個体の放鳥に踏み切った。
26日の移送では、初めて全ての行程を陸路で実施。那須と茶臼山から車で中アしらび平まで輸送した後、ロープウエーで千畳敷に上げ、同省職員が背負子でケージがある頂上山荘まで運んだ。ケージでは、3羽とも元気そうな様子で餌を食べる様子が見られたという。
同省信越自然環境事務所(長野市)の小林篤さんは「当初の計画になかった形での野生復帰となったが、2年間の飼育で一定程度の手法を確立できた。今回放鳥する3羽も冬を越えて、無事繁殖することに期待したい」と話した。来年以降は、ほかの動物園で飼育されている個体を繁殖させ、中アに野生復帰させる事業に取り組む予定。