熊対策で意見交換 県が特定鳥獣保護管理検討委
県は20日、特定鳥獣保護管理検討委員会を県庁で開き、10月に飯山市で高齢男性がツキノワグマに襲われたとみられる死亡事故を受け、対策の在り方を検討した。有識者や行政の代表者など12人が出席。第二種特定鳥獣管理計画で示されたゾーニング(区分け)の実施や、わなにかかった「初犯」の熊と子熊を野生に放つ学習放獣の在り方などについて意見を交わした。
県鳥獣対策室によると、熊による今年の人身被害は10件11人。目撃状況は10月末時点で1256件と直近2年の1年間の件数を上回っている。生息数は県内でも増加傾向にあるが、昨年の捕獲数は227頭(速報値)、放獣数は331頭(同)でともに例年並みだという。
会議で白鳥孝伊那市長は、「学校や保育園の近くに出没することもある。里地付近に出没した熊は捕獲してほしい」と要望。他の委員からも、里地に下りてきた際の捕獲を求める声が相次いだ。
県環境保全研究所の黒江美紗子研究員は、放獣される熊の多くが山奥で暮らし、山奥に設置されたシカ用のくくりわなにかかっているケースが大半だと指摘。「(山奥での)捕獲数の増加が、農林業被害や人的被害の減少につながるのか疑問。ゾーニングを実施してやぶの刈り払いや誘引物の除去などを徹底することで、熊を里地に近づけない取り組みを進めるべき」と述べた。
県は今後、国の方針や専門家らの意見を踏まえ、年度内に対策の方針を決める予定。