花咲かじいさん継承 花桃の里管理の宮下さん

LINEで送る
Pocket

祖父の思いを受け継ぎ「花桃の里」の管理をする宮下登さん

駒ケ根市中沢の百々目木川沿いにある花の名所「花桃の里」に、今年も春がやってきた。毎春、谷一帯を覆うように咲く約800本のハナモモを植えたのは同所で飲食店を営み、店名でもある「すみよしや」さんと呼ばれ親しまれた故宮下秀春さん。昨年10月に82歳で他界した。秀春さんが残したハナモモや飲食店を「守っていかなきゃ。ここで終わらせるわけにはいかない」と孫の宮下登さん(25)が受け継ぎ、守り育てていく活動を始めた。

花桃の里は、秀春さんが種から育てた実生の苗木を二十数年前から植えて増やしてきた。4月中旬から下旬にかけて花を付け、谷間の斜面を白やピンク色に染め上げる。いまでは県外からも花見客が訪れる名所になった。

中沢生まれの秀春さんは主に林業に従事した。地元の中沢小学校では、伝統行事となっている全校炭焼きの講師を長年務めるなど地域貢献も欠かさなかった。「花桃の里」の整備は、全国的にも有名という下伊那郡阿智村清内路にあるハナモモを見たことがきっかけに。昨春、取材に「実生だから病気や害虫に強い。年々成長し花がきれいになっていく」と満足そうに語る秀春さんは“花咲かじいさん”そのものだった。

そんな祖父の背中を見て育った孫の登さん。幼い頃から食に関心があったこともあり祖父の飲食店を継ごうと県外の専門学校で調理師免許を取得、上京して料亭で修行もつんだ。がんを患った祖父を支えようと昨年1月に帰郷。店を手伝い、秀春さんが亡くなる直前までハナモモの剪定を一緒になって行うなど、きこりの仕事も担うようになった。

10月に入り、秀春さんの体調が悪化し帰らぬ人に。「病気だとは分かっていたが、突然のことでショックだった」と登さん。「晩年の祖父が築き上げた花桃の里。守っていかなきゃ」と改めて決心し、家族や地域の人の力も借りて今年3月に「すみよしや」の再オープンにこぎ着けた。

晴れ間が広がった13日。つぼみを蓄えたハナモモの木々の前には、エプロン姿ではなく作業着を身に着けた登さんの姿があった。枯れて折れてしまった枝の処理に汗を流し「やることが多くて思っていたよりも大変。もっと勉強してきれいな花を咲かせたい」。

今後の目標は「花が咲いていない季節にもお客さんを呼べるようにすること」と話す。バーベキューも楽しめるようにと以前からあった焼き肉小屋を改装し、U字溝を利用した新しい焼き肉台を設置した。「まず、ハナモモを守っていくことが最優先。だけど自分の色も徐々に出していけたら」。そう語る登さんの表情は輝いていた。

今年は寒さや雨の影響で花の生育は遅れ気味。見頃は4月下旬になりそうだ。

おすすめ情報

PAGE TOP