2020年9月22日付

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近頃の子どもに将来就きたい職業を尋ねると、具体的な職種の答えが返ってくることが多い。学校が注力するキャリア教育の成果だろう。社会人、職業人となる将来をしっかり見据えた落ち着きが頼もしい▼ただ「何のために仕事をするか」への答えとなるとちょっと寂しい。大方、「お金を稼ぐため」「欲しい物を買って楽しく暮らしたい」とくる。もちろん少数は「世の人の役に立ちたい」との答えもあるが、これも学びの成果では、とちょっと邪推が働いてしまう▼海外の研究では今の子どもが将来就く職業の大半はまだ世にない職種―との推論もあるそうだ。現に自作動画を配信して広告収入を得る「ユーチューバー」の存在が、子どもの憧れの職業になるとはかつて想像だにしなかった▼国の調べだと新規学卒者の3割が3年以内に離職する。根気よく素材を削り、汗にまみれて柱を立て、顧客に何度も足を運んで頭を下げ―といった多くの職種でなり手不足が続いている。新型ウイルスへの対策を機にビジネスの様相も大きく変わるだろうが、社会の根幹を支える営み、苦労は変わるまい▼先行きが見えない状況で次代に仕事の何を伝えたらいいのか。そんな迷いを胸に訪れた富士見中でのこと。休校かと惑うほどの静けさの中、全校生徒が掃除をしていた。黙々と床を磨くその姿こそ社会人の生涯の目標だと子どもたちは知っているだろうか。

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