2016年12月08日付

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阿智村にある満蒙開拓平和記念館を先日、再訪した。開館以来だから3年半ぶり。冬季で入館者は少ないだろうと思っていたら、予想以上に多く、県外者もいて驚いた▼満蒙開拓に特化した全国で唯一の記念館だ。開館当初はそれなりに注目を集め、順調な滑り出しを見せていた。その「熱気」が続くか気がかりだっただけに、ほっとした。先月には天皇、皇后両陛下が訪問された。知名度も上がり、決して楽ではない民間運営の追い風になったに違いない▼満蒙開拓団の歴史が分かりやすく紹介されているのに改めて感心した。旧満州(中国東北部)への農業移民の背景や現地での暮らしぶり、終戦時の混乱、悲惨を極めた逃避行、残留孤児問題…。国の「棄民」にも目を向け、中国の人々から見た「加害」の側面も取り上げている。まさに複眼的な展示だ▼「もう少し早く作ってくれたら」。そんな声もあったそうだ。副館長の寺沢秀文さんは、「まだ生々しくて語ることが憚られた現実の出来事であった満蒙開拓という出来事が、ようやく『歴史』へと変わりつつあるそのタイミングで記念館は完成した。この時期に建てられるべくして建てられた」(史誌『信濃』)と書く▼民間の努力に比べて国や自治体はどれだけ平和事業に熱心に取り組んできただろうか。記念館の取り組みは戦後70年がすぎても、まだできること、やるべきことがあると教えている。

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