2016年3月9日付

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人の記憶なんてあいまいなものだ。6年前に何をしていたのか尋ねられ、即答できる人は少数派だろう。でも、諏訪地方の住民にとって、それが御柱年となると、話は別である。祭りを通じて自分の人生が鮮烈によみがえる▼本紙の諏訪地方版に連日掲載されている「ここが好き御柱」を見ていると、そんな人たちの思いが読み取れる。茅野市の女性(23)は平成4年申(さる)年生まれ。小学6年、高校3年と、御柱が節目と重なり、今回は社会人1年目。人生の折々にいつも大祭がある▼岡谷市の女子中学生(13)は小学生だった前回が木やりのデビュー。今回も「木やりを声の限りに響かせたい」と意気込む。諏訪市の男子児童(10)は今年、父親と共に抽籤(ちゅうせん)祈願を続けた。暗く凍(い)てつく中での早朝祈願は、小学生時代の大きな思い出になるだろう▼著書「続々やまうら風土記」で、諏訪の習俗に詳しい湯田坂正一さん(茅野市)は、御柱祭と人生の重ね合いを「体内時計」と表現する。「この前の御柱年には孫が学校へ上がり、この次の御柱年にゃ~俺も七十七の喜寿になる」などと、人生の目標を立てる人も多いとつづる▼曳(ひ)き綱を仕上げる「綱打ち」、曳行(えいこう)路の点検や視察、祭りの安全を祈る地域の祈願祭…。連日のように祭り関係の記事が紙面を飾る御柱イヤー。今回の祭りは氏子たちの心にどんな思いを刻むのか。諏訪大社御柱祭は開幕まであと24日だ。

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