2017年01月15日付

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「悲しいことがあったら、僕のお気楽さを知って。気持ちが軽くなると思います」。傷つき、落ち込んだ気持ちを優しく包み込み、痛みを和らげる不思議な力を感じるこの言葉。自らを「お気楽」と表しているが、根っからのお気楽でないことは容易に想像できよう。命が軽んじられる殺伐とした社会にあって、気持ちが「ほっ」と温まる一言だ▼言葉の主は、自伝「命の尊さについてぼくが思うこと」を出版した山田倫太郎さん、15歳。現在は箕輪中学校に通う。非常に明るく快活で、礼儀正しく、考えをまとめて言葉で表現するのが巧み―というのが、第一印象だ▼しかし、そのおいたちは決して順風満帆ではない。生後間もなく先天性心疾患が発覚し、手術や入退院の繰り返し。思い切り走り回って遊べる同年代の子どもたちとは違う自分に悩み、差別やいじめに悲しい思いをしてきた▼「自分を大切にして下さい。他の人も大切にすることができます」「いじめは、卑劣で卑怯で、野蛮な行為」「人は十人十色。お互いの良いところを伸ばし合い、支え合うことが大切」。自らの経験から出た倫太郎さんの心の声だ▼誰に限らず苦境に直面すれば明るく振る舞うのはおろか、相手への思いやりさえも滞りがちになる。だが苦難の中での姿勢こそ、その人の器をも測るものではなかろうか。中学3年生が語る人生は、万人にとってのかがみにもなっている。

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