岡谷市 防災ラジオ更新課題

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市内で広く普及している「市防災ラジオ」。1台1000円と安価な価格設定で、すでに1万4000台が販売されている。

「一家に1台防災ラジオ」を合言葉に災害時の情報伝達手段として岡谷市が利用を推進してきた防災行政無線の同報系戸別受信機「市防災ラジオ」が、将来的に使えなくなる可能性が出ている。国が周波数の有効利用を目的に防災行政無線放送のデジタル化を進めているためだ。完全デジタル化となった場合、アナログ方式の「市防災ラジオ」では受信できない。一方、同ラジオは市内で広く普及しており、買い替えを促すにもハードルは高い。

防災行政無線は、消防・救急無線などの移動系と同報系に分けられる。同報系は屋外拡声器や戸別受信機を介して市町村役場から住民に対して直接同時に防災、行政情報を伝えるシステム。現在はデジタル、アナログ両方式が併用されている。アナログ方式の終了時期は現段階で示されていないため、当面は併用されるが、「将来的にはデジタル方式に統一する」(総務省信越総合通信局)との立場だ。

これに対し、市は少しでも長くアナログ方式が併用されることを願っている。大きな理由はデジタル方式の受信機が高価な点だ。同通信局によると、受信機の価格は1台3~5万円が相場となっている。

市は2006年の7月豪雨災害で大雨の影響により、屋外のスピーカーから流れる放送が住民に伝わりづらかった教訓を生かし、防災ラジオの普及に積極的に努めてきた。大量発注により受信機1台あたりのコストを下げるとともに市が購入費用を負担することで、1台1000円という安価で市民に販売し、現在までに約1万4000台に上る。市の世帯数は1万9205世帯(昨年12月現在)で、「1世帯で2、3台購入しているケースもある」(市危機管理室)ことを考慮しても世帯普及率は高い。

仮にデジタル方式に移行した場合、3万円程度の定価のままでは新たな防災ラジオが現状のような普及率に達する可能性は極めて低く、1台1000円となるように市が費用を負担すると仮定した場合、3~4億円が必要だ。財政健全化に向け、経費節減を進める市にとっては頭の痛い課題だ。国による補助も現在のところないという。

市危機管理室の小口智弘室長は「市の実情を考えれば、同報系のデジタル化対応は非常に困難。既存の防災ラジオができるだけ長く活用できる環境維持を関係機関には求めたい。当面はアナログ方式が維持されると聞いており、その間にどのような対応がより現実的かを研究したい」と話している。

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