2017年02月09日付

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立春の声を聞き、日差しに春の色を感じる。里も山も活力を取り戻し始め、畑で作業に励む人たちの姿が見られるのももうじきだ。ただ、農家にとっては田畑を荒らす獣との闘いの始まりでもある▼県内のニホンジカの捕獲頭数は今年度、目標を1万頭近く下回る見通しだという。鹿が人を避けるように行動を変え、捕獲しにくくなった―との見方がある。富士見でも農業被害は数字で知る限り減った。こちらは地元猟友会による駆除の努力が大きいとみる▼だが、農家に安どする間はない。今は猿が最大の天敵だ。町内では「とにかく数を減らせ」、「無作為に捕れば群れが分裂して被害が広がりかねない」などと対策をめぐって議論もある。そもそもなぜ猿被害が増えたのか。専門家は、「山際で暮らす人、農業を営む人が減ったため、放棄地を餌場に集落近くへ住みついた」と分析する▼気掛かりなのは猿の目撃が増えたからといって、総頭数が増えているとは言い切れないことだ。その実態が分からないままでは、憎しと捕殺するうちに気づけば絶滅寸前、という危うさもある▼狩猟者の多くは猿を撃つのを嫌う。人に似ているからだそうだ。その感情を殺して銃を向ける猟友会員の苦労を無駄にしないためにも、まずは獣の動向を徹底的につかむ必要がある。生態系全体のバランスを見渡せる思慮と、冷静さという人間の武器で猿知恵に挑みたい。

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