消却灰の行方-処分場計画・上 建設の必要性

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県外の民間最終処分場に向けて諏訪湖周クリーンセンターを出発する焼却灰を積んだトラック

10トン以上の焼却灰を積んだ大型トラックが、広域ごみ処理施設「諏訪湖周クリーンセンター」(岡谷市内山)を出発する。向かうのは県外の最終処分場。松本市で鉄道貨物に積み替え、遠くは北海道や山口県まで運ぶケースも。ほぼ毎日見られる光景だ。

同センターは岡谷市、諏訪市、下諏訪町の可燃ごみの共同処理施設として整備され、昨年7月から試運転を始めた。それまで各市町の焼却施設でごみを燃やしていたが、国がダイオキシン対策の強化を求める中で、24時間連続運転を可能にする施設を整備する必要性から施設を1本化した。

焼却灰は諏訪市は同市角間新田の最終処分場、岡谷市と下諏訪町は岡谷市樋沢の最終処分場でそれぞれ処理してきた。同センター完成後の昨年9月から焼却灰の処理も共同となり、全量を全国七つの民間事業者に委託。処分場は北海道、秋田、群馬、埼玉、愛知、三重、山口の7道県の8カ所に分散している。

計画している最終処分場は、埋立地を屋根や壁で覆う「クローズド型」。灰の飛散や流出、臭気の拡散を防ぐ。雨水を完全に排除し、人工的な散水で灰を安定化させる。安定化のために利用した水は施設外に放流せず、循環させて再利用する方式だ。

組合が試算した焼却灰の処理費用(建設費、30年間の運用費含む)の比較だと、1、自前の「クローズド型」施設(無放流型)と民間委託を併用した場合の総費用は38億円 2、全量民間委託は26億円 3、全量自前の同施設で処理した場合は66億6000万円に上る。

費用だけでみれば、現行の全量民間委託が最も安い。しかし、組合は大地震などで輸送路が寸断されたり、企業側の都合で灰の受け入れが困難になったりといった「リスク回避の視点から必要」とし、自前の施設の建設と民間委託の併用を選んだ。

伊藤祐臣事務局長は、「仮に明日、委託業者のうちの何社かに灰を受けてもらえなくなったら、可燃ごみの受け入れ、焼却をストップせざるを得ない」と指摘。「最終処分場の受け入れ体制を一日も早く整えること。それが万が一の事態に備えるリスク対応だ」と必要性を訴える。

岡谷、諏訪、下諏訪の2市1町でつくる湖周行政事務組合が諏訪市板沢地区に最終処分場を建設すると公表してから4カ月余。建設候補地の下流域に当たる辰野町では反対の姿勢が強い。住民の反対運動をきっかけに町が事前調査への反対を組合に申し入れ、町議会は「計画の撤回」を要求。これを受け、組合は建設に必要な調査、測量の今年度内着手を見送った。こう着状態の経緯と現状をリポートする。

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