富士見の猿に新たな群れ 原村方面に北上の恐れ

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群れ分布状況

富士見町がニホンザルによる農業被害対策として、3年前から行っている猿の群れの動向調査で、新たな群れが生まれて被害域が拡大し、原村方面へ北上する恐れがあることが分かった。無作為な捕獲が群れの分裂を招く可能性もあるとして、町は銃による捕殺を一時中止。猿に位置情報の発信機を装着して群れの構成や動向を詳細につかみ、追い払いで群れの行動範囲を狭めながら、問題個体を選んで捕獲する作戦へと転じた。

調査は信大農学部山岳科学研究所、NPO法人甲斐けもの社中(山梨県)と連携して2015年度から実施。その結果、町内には入笠山方面の「花場群」、町南部の県境に面した「蔦木群」、町中心部から瀬沢新田一帯で行動する「瀬沢群」の三つのグループが確認された。

新たに生まれたのは「瀬沢群」で30~50匹程度で構成するとみられる。これまでの目撃や被害の状況から行動範囲が徐々に原村方面へと広がっている。

昨年度から調査を受託する甲斐けもの社中理事長の山本圭介さん(34)=山梨県南アルプス市=によると、ニホンザルは雌を中心に群れを構成するため、「無作為の捕獲で雌を殺してしまうと、群れ内の雌同士に争いが起きてグループが分裂する。新しい群れが新天地を求めて移動するため被害域が広がる」という。

これを防ぎ、持続的に被害を抑制するには、「群れの構成と動きを把握したうえで、好奇心が強く、農業被害を出しやすい子猿や若い雄から捕獲し、群れを縮小させる。この戦略的な捕獲と追い払いの防除を同時に行うのが効果的」(山本さん)とする。この手法は南アルプス市が昨年度から導入し、群れの縮小が効率よく進んでいるという。

町は昨年度まで町猟友会の協力で年間100匹を超える猿を無作為に銃で捕獲してきたが、今年度はおりやわなを使って、捕るべき個体を選んで捕殺する手法へと転換した。

新年度は、群れの実態調査をさらに進めると同時に、被害を拡大させないよう個人向けに電気柵の資材購入費の補助を新設したり、追い払いの技術講習会を開いたりするなど出没最前線での水際作戦に力を注ぐ方針だ。

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