島崎藤村読み続け半世紀 「萩の会」活動に幕

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最終例会で諏訪市図書館に大活字本などを寄贈する萩の会の伊藤代表(右から2人目)ら

木曽郡山口村馬籠(現岐阜県中津川市馬籠)出身の詩人、小説家・島崎藤村(1872~1943年)の作品を、約半世紀にわたって読み続けてきた藤村研究会「萩の会」(伊藤正子代表)は14日、諏訪市図書館で開いた例会をもって、その歩みを閉じた。会員の高齢化から節目としたが、藤村の長編小説や詩集はほぼ読破。「皆と一緒だったから読み切り、感動を共有することができた」と振り返る。長年活動の拠点としてお世話になった同図書館に、運営費の残金でエッセー、小説などの大活字本18冊と大人の紙芝居1冊を贈り、感謝の気持ちを伝えた。

同会の発足は1970(昭和45)年、同市城北小学校PTA文化委員会が主催した読書会がきっかけとなった。講師はそのころ馬籠の藤村記念館館長を務めた松原常雄さん。講演を聞いた伊藤代表は藤村への興味を募らせ、地域の人に声を掛け、数人で詩集の読み合わせから始めた。

当時は各地で母親文庫や読書会活動が盛んで、主婦ら女性の知的欲求が高まっていた。こうした背景もあって各地から入会者が増え、最も多い時は30人を超えた。

会場は大和公民館や同市諏訪1の旧図書館を借用。89年同館の移転新築に伴い現図書館に移動、指導者に藤村研究者の故北澤実さんを迎えた。

詩集「若菜集」や「一葉舟」「夏草」「落梅集」などロマン主義詩人藤村が描いた世界を探った。自然主義文学の先駆となった長編小説「破戒」をはじめ「家」「新生」「夜明け前」なども、一作を数年かけ時代背景に照らしながら掘り下げた。

この間、作品への理解をより深めようと、北澤さんが講師を務める他の読書会と合同研究会を開き、県内外の藤村ゆかりの地にも出向いた。

最終例会には伊藤代表ら8人が参加。「藤村の詩に憧れていた」「諏訪に引っ越して来て友だちがほしかった」と入会当初を思い出し、「月1回の例会が楽しみだった」「藤村と祖父母が生きた時代がほぼ同じ。重ね合わせながら読み下した」と振り返る人も。「今は藤村を知らない人も多く、生家は岐阜県になってしまった」と一抹の寂しさものぞかせながら、仲間と助け合ってやり遂げた満足感をにじませていた。

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