諏訪中央病院臨床研修10年 医師が育つ・上

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患者のカルテに目を通す左から小平医師、林医師、松田医師(手前)

茅野市と諏訪市、原村の組合立諏訪中央病院(茅野市)に、全国から若い医師が集まり、院内に活気を生み出している。地方自治体が運営する公立病院が医師不足にあえぐ中、同病院は10年余りで若手医師を教育する「臨床研修病院」としての体制を整え、難局を乗り越えてきた。熱心に学び、患者と向き合う現場から、地域医療のあり方を考えた。

午前6時すぎ。総合診療科の研修医、松田優奈医師(27)=現東海大医学部付属病院=は病室を回り、患者のカルテに目を通す。先輩の医師が出勤すると、松田医師は患者の状態や家族の意向、自ら考えた治療方針を説明し、活発に意見を交わした。

その後、総合診療科の医師十数人が集まるカンファレンス(症例検討会)でさらに議論を深め、午前9時ごろ朝の回診に向かった。松田医師には7年目と11年目の医師2人が常に寄り添い、必要に応じて助言をする。「世代が折り重なって教育をする。『屋根瓦方式』と呼んでいます」。指導担当の小平のり子医師(31)はそう語った。

小平医師も研修医として、諏訪中央病院で学んだ一人だ。徳島県出身で徳島大医学部を卒業後、同大医師の勧めもあり「子どもからお年寄りまで総合的に診る力をつけたい」と、2010年4月に諏訪中央病院の門をたたいた。

初期研修の期間は2年。小平医師は当初、「2年で徳島に帰ろう」と考えていたが、八ケ岳や霧ケ峰の雄大な自然に魅了された。何より一緒に働く同世代の医師が輝いて見えた。「2年じゃ物足りない。もったいない」。今は結婚もして「諏訪で頑張ろう」と決めている。

諏訪中央病院では研修医が主治医となり、主体的に患者や家族と関わる。研修医を含む各年代の医師で「屋根瓦方式」のチームを作り、患者の安全を確保するとともに、学び合う体制を築いてきた。

松田さんのチームは4人。指導を担当する林大吾医師(38)=岡谷市出身=は、「医者は一生勉強。教えることで学ばせてもらうことがあり、指導をする立場としても刺激がある。知識や経験を自分だけでなく、広めることで医療のパワーが高まり、患者さんにフィードバックできる」と強調した。

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