井月の絶筆句伊那市に きょうから創造館で公開

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伊那市と井上井月顕彰会は28日、放浪の俳人井上井月(1822~87年)が息を引き取る2時間ほど前に書き残したとされる絶筆句「何処やらに寉の声きく霞かな」と、井月の俳友六波羅霞松(1845~1934)が井月臨終の席で同句を受け取った際の様子を書き記した添え書きなどとともに、所有者から市に寄託された、と発表した。29日から、同市荒井の市創造館常設展示室で関連資料とともに無料公開する。

絶筆句は唐紙に書かれたもので軸装されている。井月顕彰会によると、井月が40歳ごろに既に詠んでいた句だが、臨終の寸前に、霞松に筆を握らされた井月が、この句を書き残したという。

井月研究の権威で井月顕彰会副会長の竹入弘元さん(85)は「勢いはないが、亡くなる直前によくしっかり書いたなと感心する。亡くなる寸前の意識がもうろうとしているときにふさわしいような句」と解説。井月顕彰会の北村皆雄会長(74)は「例えば『霞かな』という字を見ると、薄く、まさに霞かなのイメージを意識して書いている。俳人としての井月の矜持がうかがえる」と話した。

同市や井月顕彰会が井月の遺墨収集活動を進める中で、今年3月に絶筆句の所有者が市側の求めに応じたという。北村会長は「井月の一生を明らかにする重要な資料で、伊那市に寄託されたことで、大勢の皆さんに見ていただけるようになる」と感謝した。

寄託を受けた資料には、井月が長岡藩士の井上克三であると記した霞松の書き付けや、井月全集をまとめた高津才次郎の書簡など貴重なものもあり、併せて公開する。

市創造館は、絶筆句公開記念で29日午後1時30分から、映画監督で映像民俗学研究者でもある北村会長が制作した記録映画「上伊那の祭りと行事30選(総集編)」の上映会と、北村さんの講演会を同館で開く。入場無料。問い合わせは創造館(電話0265・72・6220)へ。

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