2017年05月06日付

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少し年配の人と話をすると会話の端々に、「ボケちゃ困るもの」「ボケ防止にね」といった言葉が混じる。老いてなお活発なことへの謙遜でもあるけれど、皆、心のどこかに認知症への不安がある▼現に、何十年も前に解約した口座から引き落としを求めて毎日銀行員を困らせたり、外出して家への道を忘れ、命に関わる深刻な状況に陥ったりすることもある。自身の言動が分からなくなることへの怖さもあるが、何より家族や人に迷惑をかけるのが切ない▼患者のつらさは言うまでもない。歯磨き一つも例えるなら「全力疾走しながら」という感じだそうだ。足元の段差が見分けられず、チョッキなどどこへ腕を通せばいいのやら。そんな風に「動作、思考の一つひとつに全力が要り、ひどく疲れる」のだという▼でも「何もできないと決めつけないで」と患者は言う。手順を書きつけ、必要な物をひとまとめにするなど自身の工夫と、周囲の助言、手助けがあれば持てる力を生かせるという。患者と、支援で心労がかさむ家族ともども包み込むようなサポートの充実が望まれる▼先日、現金自動預払機で引き出した現金を取り忘れる失敗をした。親に「認知症を不安がらないで」と安心させようにも、「お前こそ大丈夫か」と逆に心配されて説得力がない。「認知症になっても安心して暮らせる地域づくり」は誰もの願いであり、世代を問わず皆の課題だ。

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