2017年06月01日付

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1950年代から60年代にかけ、国際政治の舞台で存在感を放ったハマーショルド国連事務総長。行動する事務総長として、コンゴ動乱の調停などに奔走した。スウェーデン生まれの外務官僚で、日本の俳句に感銘を受けて多くの3行詩を残したことが知られる▼日本語訳すると五七五にはならないのだが、著書に3行詩がつづられる。「復活祭の空のもと/雪溶けにふくれあがった小川/夕べ。食卓にはすみれ」「城のかげで/夕暮には間があるのに/花たちは目を閉じた」(「道しるべ」みすず書房)。何となく日本人の感性に近いものがありはしないか▼今年4月、俳句をユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録しようという活動が始まった。日本文化を代表する詩形式としての魅力はもちろんだが、「世界を平和にする」道具になり得るのだという▼登録運動を進める協議会の代表で、元東大総長の有馬朗人さんはこう語る。俳句は短いから誰でも書ける。東洋、西洋を問わずに、自然を見て、はっとした思いを自国の言葉で形にできる。貧富も、人種も関係ない。相互理解の手段として有用だ、と。短歌にも同じことがいえるかもしれない▼欧米文学では行数を積み重ねる長詩が伝統的という。対して俳句や短歌は対象を一瞬に切り取る鮮やかさが持ち味だ。日本の短詩として、俳句と短歌がともに文化遺産になれば喜ばしいのだが。

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