2017年06月09日付

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伊那谷から東京方面や名古屋方面に行くのなら、高速バスは便利な交通手段。その停留所は、旅立ちや帰郷の舞台になることもあるだろう。出発点であり、終点でもあるバスターミナルは、古里の変わらぬ風景として記憶に残るものの一つなのかもしれない▼伊那市の中心市街地で伊那バスターミナルの改築工事が始まっている。これまでのバスターミナルは1965年の建設(86年に改修)で、老朽化していたそうだ。半月ほど前までは工事用フェンスの向こうに見えていたが、解体された▼そんな頃だった。トールペイントの置き物を見て、バスターミナルの記憶がよみがえった。木製の置き物でミニチュアの商店街を作っている同市荒井の小平和夫さんが、解体前の姿を形に残してくれてあったのだ。改築されることを知り、急いで建物を図面化し、見えるままを描き、制作したらしい▼「看板がなくちゃ」と小平さん。そういえば、バスが転回するレーンの外側には広告の看板がずらりと並んでいて、バスターミナルの風景の一部だった気がする。「まだ学生だった頃、帰省したときには、看板を見ながら母の車の迎えを待った」と懐かしそうに見る人もいるそうだ▼予定通りなら、12月ごろから、建て替えられたバスターミナルで高速バスや路線バスが発着することになるという。新しい風景が、利用者の新しい記憶になっていく様子を想像してみた。

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