陛下の退位の動きに特別な思い 降旗さん一家

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天皇、皇后両陛下が温泉植物園を視察された時の写真に見入る降旗正子さん(中)一家

天皇陛下の退位を実現する特例法が9日、成立した。陛下の生前退位に関する一連の動きを、特別な思いで見守ってきた家族がいる。1992(平成4)年9月7日、天皇、皇后両陛下が諏訪市温泉植物園に行啓した際、御説明役を務めた諏訪市細久保の元市職員、降旗博明さんの一家だ。博明さんは2012年に亡くなったが、妻の正子さん(76)は、「両陛下にご説明させていただけたことは、父さん(博明さん)の生涯に大きな支えになっていた」といい、「生きていたら『常に国民に寄り添ってくださった。これからはゆっくりする時間を持ってほしい』という思いを抱いたと思う」と話している。

正子さんは、昨年8月に天皇陛下が「お気持ち」を述べられて以来、両陛下が温泉植物園をご覧になった頃のことを思い出してきた。四半世紀を経たが、今もきちんと取ってある写真や新聞などを改めて手に取り、当時を長女の文恵さんと振り返る。

「『両陛下が諏訪を視察される際は植物園にも寄られる。説明役は降旗さんに』という話があったことを聞かされ、私たち家族もびっくりした。今でもその時の驚きは覚えている」。
 植物園は温泉熱を利用し熱帯性植物を育て、アサギマダラやオオゴマダラなどのチョウを飼育していた。博明さんは日頃からチョウの乱舞が途切れないように気配りしていたが、万が一にも失敗があってはいけない│と、陛下のご視察に合わせてより慎重に飼育に取り組んだという。さなぎの段階で病気になり全滅した例も知っていたようで、一端帰宅しても様子を見に時々園に行っていた。

当日はかなり緊張していたというが、両陛下の穏やかな会話が「心を落ち着かせてくれた」といい、皇后さまの帽子にチョウが止まると、お二人で笑みを交わされ「こっちまで温かい気持ちになった」と家族に話した。

記念にいただいた菊の御紋入りのたばこは、「失礼があっては申し訳ない」と母親に真っ先に届けた。今も降旗家の神棚には残り3本が上がっている。両陛下と一緒に写った写真は玄関に飾った。博明さんの療養が始まると自室に移していつでも見られる位置に飾り、今もそこにある。

正子さんは「本当に貴重な機会をいただき家族は心から感謝している」といい、「災害地の避難所でひざまずく陛下のお姿をテレビで見て、ありがたい気持ちでいっぱいになる。まだまだ公務はあると思うが、皇后陛下とご一緒に末永く健康で過ごされることを祈っています」と話した。

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