2017年06月11日付

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好きな自治体に住民税を納めたい―。田中康夫元知事が長野市にマンションを残したまま下伊那郡泰阜村に住民票を移したのは2003年。生活実態がないと指摘を受けると“住所”のある村長宅と県庁を高速バスで往復してみせ、話題を呼んだ▼この騒動が問題提起になったとの話もある「ふるさと納税制度」。08年度に導入されると多くの自治体が新たな財源として注目し、寄付集めの競争が加熱。特典情報を紹介するインターネットのサイトには豪華な返礼品が並び、「自治体版通信販売」の様相だ▼こうした状況が本来の趣旨からかけ離れているとして、総務省は自治体に返礼品の見直しを要請。昨年度に県内最多の72億円を集め総務大臣から名指しされた伊那市をはじめ、諏訪市や駒ケ根市も見直しを迫られ、家電や時計などを除外した▼自治体からは要請に一定の理解を示す一方で、一律の規制に「土地柄に合うものを選んできたのに、品目だけで善しあしを決められるのは残念」(金子ゆかり諏訪市長)との不満も。財源確保や産業振興に知恵を絞ってきた立場からすれば、割り切れない思いも強いだろう▼富裕層ほど利点が大きいとの指摘もあるなど課題の多い制度。国も自治体も原点に立ち戻る必要があるだろう。ただ制度改正する際は、せっかく自治体に芽生えた創意工夫や切磋琢磨の精神を、従来型の画一化で摘み取るのは避けてほしい。

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