2017年07月17日付

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通勤ラッシュの朝、エプロン姿で街頭に立つ年配の男性がいる。手には横断旗、胸にはバッジを着け、保育士さんのようないでたちがほほ笑ましい。登園してくる親子を出迎えている▼別の場所では緑色のベスト、帽子を身につけた人たちが、横断歩道の脇に立ち、子どもを誘導している。ボランティアといえども安全を守る責任は重い。子どもらに優しい笑顔を向けながら、周辺の車の動きを厳しく注視する姿は、子どもにもドライバーにも頼もしい存在だ▼彼らはかつてどんな仕事をしていたのだろう。会社の経営を担い、職場の陣頭指揮を執り、または毎日ものづくりに根を詰めていたか。そんな風にそれぞれの活躍ぶりが想像される。定年という一線は越えても生涯、社会の現役で活躍する気概に頭が下がる▼ひとつ事を成し遂げて幕を引いた後、新たに活動の目標を見つけてやる気を再燃させるのには、相当な労力がいる。例えば学卒の新人が社会に飛び込むよりエネルギーを要するかもしれない。金銭的な対価以外に意義を見いだすことも難関だ▼ただ、始動までは重いものの、いざ腰を上げたら知恵と経験で大概のことを受け止め、乗り切れるのが年配者の強み。現場の緊張感や厳しさから一歩引いた余裕も、職場の若手や地域住民に安心と心強さを与えてくれる。「その人にしかない魅力」とは、年を重ねるほどに光を増すものなのだろう。

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