まちのかたち 合併から10年・4 伊那市:住民自治

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伊那市は3市町村合併に伴い、地域自治を高める狙いで市内の地域ごとに地域協議会を設けた。合併により高遠町の議員は2人、長谷の議員は1人に。高遠町と長谷の両地域協議会は旧町村の議会に代わる組織として地域住民の声を市に伝える役割を担ってきた。

高遠町では2015年、NPO日本で最も美しい村連合への加盟を「下地が整った」として申請し、登録が認められた。タカトオコヒガンザクラと石工を軸に地域の観光資源を生かした新たな活動への道筋をつけた。

長谷では太陽光発電事業を展開するエコタウン推進委員会が立ち上がり、協議会を通じて全区の了承を得て2年間かけて稼働にこぎつけた。旧村時代に積み立てたふるさと創生基金を活用して地域の公共施設に太陽光パネルを取り付け、売電している。

合併から10年を迎え、市内でも過疎高齢化と人口減が著しい両地域では協議会が保育園と小学校の維持を求めた建議書を市に提出した。過疎対策を要望する一方で、自分たちで主体的に活性化に取り組んでいく方針を示した。

両地域では協議会以外にも活性化に向けた民間による動きがある。高遠町では高遠まちづくりネットワークが、新たな名所として「こひがん地蔵」を建立して静かな人気を集める。長谷では溝口の有志でつくる未来プロジェクトが地元に開所した宅幼老所を拠点に活動を始動した。

西春近では4月から、地域協議会の役割を自治協議会が担う。課題の解決による地方自治の確立と地域の発展などを目的に環境保全や生活環境の整備、災害対策などに取り組んでいる。市地域自治区制度審議会は西春近の活動を「住民自治の先進事例。同地区をモデルにすべき」と高評価する。加納義晴会長は「行政頼みの地域づくりには限界がある。地域にはこれまで以上に自治の力が求められている」と考えている。

市は地域協議会が内容を審査する市協働のまちづくり交付金事業を新たに募集し、住民が課題解決のために自ら取り組む活動を支援する。白鳥孝市長は「自分たちが行動しなければならない、という意識に変わってきた。行政任せでなく、自分たちで考え、行動してほしい」と期待を寄せる。

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