御柱祭上社山出し 大きな混乱や事故なく

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諏訪大社御柱祭上社山出しは2~4日に行われた。茅野市、原村境の綱置場を出発した8本の御柱は、担当地区の氏子たちの手に曳かれ、同市安国寺の御柱屋敷に曳き着けられた。3日目の朝に雨が降ったが、それ以外は好天に恵まれ、曳行路は大勢の氏子と見物客でにぎわった。諏訪地方観光連盟御柱祭観光情報センターのまとめだと、期間中の人出は52万1000人。2010年の前回より1万2000人(2・4%)増えたが、大きな混乱や事故はなかった。

茅野署の雑踏警備本部のまとめでは、けが人は前回比5人増の14人だった。このうち重傷は4人で氏子と観光客がそれぞれ2人。氏子は曳き子として参加した60代女性と未成年男性で、ともに木落しの坂で転倒して足の骨を折った。病人や泥酔者を含む病院搬送は31件だった。

観光客の増加が見込まれる中、伊勢志摩サミットの開催を前に警察官の増員が困難な状況だったが、茅野署や茅野市観光協会の呼び掛けで木落し公園周辺に大型桟敷を設営する業者6社の連絡会が発足。統一的な警備計画を作成して前回より58人多い107人の警備員を配置し、さらに誘導員を209人置いた。

その結果、課題だった木落しに続くガード下への見物客流入を上川橋で防いだ。茅野署の唐澤正典署長は「安全、安心の確保の目的に向けて、心を一つに合わせていただいたことに感謝している。引き続き里曳きに気を引き締めて取り組む」と述べた。

曳行は「安全」と「時間通り」が大きなテーマだった。上社御柱祭安全対策実行委員会(濱明行委員長)は前回の教訓を踏まえ、夜間の曳行をしない方針を決定。綱渡りを最大1時間早めて8本とも午前7時30分にしたほか、川越し前の曳行路を一部変更してメドデコの着脱を1回減らすなどの対策を講じた。さらに安全曳行の「決議事項」の徹底を各地区に求めた。

御柱が前回より大きいことから、多くの地区は曳行体制を強化。曳き子の確保に向けて参加人数を各区に割り当てる柱もあった。先頭の本宮一が時間通りの曳行を達成したほか、最後の前宮四も昼間のうちに御柱屋敷に曳き着けた。濱委員長は「多少の遅れは出たが計画通りだった」と山出しの成功を強調した。

一方、曳行の遅れを挽回しようと休憩や昼食の時間を割く場面も見られた。飯田政信曳行部長は「ペース配分を考えながら楽しむ工夫が必要。今回の経験を一つの材料として参考にして」と語り、牛山純緒副委員長(大総代会議長)は「前後の柱の指揮官の連携強化」を課題に挙げた。

桟敷席設営業者連絡会の発足は、安全面だけでなく観光面への効果も期待できそうだ。これまで別々に行動してきた業者が連携したことで、大型桟敷席の収容能力が約4万人に上ることが分かった。足並みをそろえて観光PRや駐車場確保に取り組む環境も整いつつあるという。

市や市観光協会などでつくる上社御柱祭誘客促進協議会は、前回に続いて上川河川敷に桟敷席を設けた。公的な桟敷席の登場が結果的に業者間の連携を促したとの指摘もある。市観光協会は「曳行の妨げにならないことが基本だが、氏子と見物客が互いに祭りを楽しめる良好な関係づくりができれば」としている。

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