「伊那べんとう」 55年の歴史に幕

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55年の歴史に幕を下ろす伊那市工場福祉事業協同組合。給食センターは30日まで弁当を製造、配達する

「伊那べんとう」として親しまれ、事業所に給食の弁当を提供してきた伊那市工場福祉事業協同組合(同市西町、長谷川洋二理事長)が9月30日で事業を停止し、解散手続きに入る。最盛期には1日5000食を提供してきた同組合だが、コンビニエンスストアなど弁当販売店の増加と社員食堂の充実で、近年は需要が減っていた。組合事務所併設の伊那共同給食センターでは30日に最後の弁当を作って配達し、55年余の歴史に幕を下ろす。

上伊那地方の26社の出資で、昼食弁当を共同提供する組合を設立したのは1962年2月15日。社員寮から出勤する従業員がいる企業などに、安全で健康的な給食を安価で提供してきた。

弁当の注文数は昭和50年代(1975~84年)がピークで、1日当たり約5000食を作ったが、現在は2000食程度。今後、調理施設の更新などの投資も必要になることもあり、工場福祉事業としての役割は終えたとして、22日に開いた臨時総会で事業の停止と組合解散を正式決定した。同組合によると、既に解散に向けた準備を進めており、21人の従業員の受け入れ先も順調に決まっているという。

事業所給食で提供する弁当の主力は「普通弁当」と、副食のおかすが1品多い「ひまわり弁当」。手作りで、野菜を多くし、塩分を減らした健康メニューは、特に年配層に支持されているという。

組合の専務理事になるまで組合員企業に勤務していた矢澤克明さん(74)は伊那べんとうの全盛期を知る一人。「一緒に働いた人たちで、うちの弁当を一回も食べたことがない人はあまりいなかったのではないか」と話す。

事業停止を利用者に伝えると、組合事務所には残念がる声が多く寄せられたという。矢澤さんは「寂しいが、これも時代の流れ。事業を終えるぎりぎりまでうちの弁当をとってくれることが本当にうれしい」と感謝している。

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