2017年10月20日付

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おむすびを作るのは簡単なようで難しい。固く握ると米がつぶれてうまみを失うし、軟らかいと崩れてしまう。青森で癒やしのおむすびを作り続けたことで知られる佐藤初女さんは「ご飯一粒一粒が呼吸できるように」と著書で説く。あるのは握り手と米の絶妙な関係だろう▼そんな食べ物にちなみ「おむすびコンサート」と名付けた演奏会が先週末、茅野市であった。出演したのは松本を拠点とした中高生バンド「ザ・ビッグバンド・オブ・ミュージックトイズ」。OB、OGを含めた多くのメンバーが訪れ、演奏を披露したそうだ▼今年で4回目。元をたどれば、3年前の冬に行き着く。地域を襲った記録的な大雪。東京にバスで向かう途中だったバンド一行もその中で立ち往生した。沿道の住民がおむすびを差し入れ、トイレを貸すなどし、車中で無事一夜を過ごした▼演奏は恩返しの場として続き、今年は初回のコンサートを聴いたのをきっかけに吹奏楽を始めた茅野市の高校生がメンバーに加わり、音色を響かせた。地元の盛り上げを図ろうと、初めてフリーマーケットも同時開催したという。バンドと住民が絶妙な関係を築く▼佐藤さんは著書で「おむすびを握ることは、それを通して、握る人の心を伝えることでもある」と言っている。何十年に1度という大雪がつないだ偶然の縁。お互いの気持ちを伝え合う演奏会としていつまでも続けばいい。

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