2017年12月23日付

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年末が迫ると、取材で1年の振り返りを尋ねる機会が増える。年配者は「あっという間に過ぎた。年を取るほど時の流れが早い」とため息。障がいを抱えて働く男性からは「とても長かった。毎日一生懸命だった」と返ってきた▼筆者のように気持ちばかりが忙しく、追われるまま過ごす者もいれば、1日、また1日と必死に命をつないで生きる人もいる。時の感じ方は人によって随分違う。一つの事に丁寧に心を注ぐ、時間の使い方の密度が大切だったのに―と、この暮れに来て悔いる▼感覚の違いといえば食への意識も千差万別。とにかく安値重視の人、健康を気遣い素材にこだわる人、美食へ金を惜しまぬ人もいる。富士見で捕獲した鹿肉から基準値超の放射性物質を検出した一件では立場、人によって捉え方の違いがよく見えた▼関係者が対応に苦慮し、奔走する中で町内の鹿肉加工業者の姿勢は印象的だった。「お客が不安になるような肉を市場へ絶対に出してはだめだ。確実に安全を立証する手だてを」と常に調理する人、食する人の立場にいた▼自粛が緩和されると同社に早速、受注が寄せられている。ジビエ料理の最盛期に主力メニューの看板を外してでも出荷の再開を待っていた店もあると聞く。社会ではとかく自分への損害や経済的な影響で問題を捉えがちだが、心を尽くす誠実さこそが揺らがぬ信頼を生むのだと同社は証したと思う。

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