2018年06月26日付

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あまり警戒されていない地域に、突然地震が起きることがある。18日に起きた大阪府北部を震源とした地震。震度6以上としては大阪では観測史上初という。震源の近くにある断層帯は今後30年間の地震発生確率が0・1%未満とされていた。専門家も住民も「想定外」だったのかも知れない▼想定外と聞くと、2011年の東日本大震災を思いだす。大津波に伴う被害や原発事故が、想定外とされることが多かった。これに異を唱えたのが大震災の約1年後に亡くなった、元明治大学学長で考古学者の戸沢充則さん(岡谷市出身)だ▼戸沢さんに近い人たちが没後に業績をまとめた「考古学の道標」(新泉社)には、“遺言”とも受け取れる戸沢さんの研究者の矜持が記される。「想定外でやむを得ない」という関係者の言葉に反発と疑問を感じた戸沢さん。考古学研究の中で大津波を知ることが出来なかったことに「自身の不勉強」を恥じた▼そして、考古学には過去の人類史に学び、「将来にわたって人類全体が平和と安全のうちに共生することに貢献する」という哲学がなければならないとした(考古学ジャーナル623号)。すべての学問や研究に当てはまる言葉に思える▼自然現象である限り、「想定外」という言い方は許されるのかもしれない。しかしそこに専門家としての“哲学”がどれだけあるのか、という戸沢さんの問い掛けは現在も重い。

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