2016年05月15日付

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7席中6席―。連休に訪ねた東京で乗った地下鉄の7人掛けシートでスマートフォン(スマホ)を操る人の割合。たまたまだったのかもしれないが、乗り換えのたびに辺りを見回すと、おしなべて7席のうち6席で皆同じ姿勢で画面に見入っている。顔も服装も年齢も性別も違うのに、同じポーズをとる奇異さが印象的だった▼今や持たない人を探すのが難しいほど普及したスマホ。総務省の通信利用動向調査によると、2014年末のスマホ保有率は64.2%。調査の始まった10年の9.7%から6.6倍もの急激な伸びを示している▼改めていうまでもないが、人気の理由はその便利さか。動画が見られ、ゲームやメールができ、タッチパネルで操作も簡単。さまざまな知的欲求を満たせる1台完結型のメディアだ。だが、便利さの裏側で、大切なものを失ってはいやしないかとの不安もつきまとう▼その一つがアニメやゲームなどに充てる時間の浪費だ。画面を見つめ、指を動かすだけで自ら考えず、体も動かさない。思考力や想像力、体力は確実に失われるだろう。自分の思い通りになる世界に身を置いている分、実社会とかけ離れて行く可能性も秘める▼スマホを全否定するつもりはない。しかし人が100%ではないのと同様に、人が生み出したスマホもまた100%ではない。気を付けるべきは「便利さ」を「万能」と取り違えないことだろうか。

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